情報社会と法研究会の設立趣旨 1:設立の目的 情報化社会という言葉自体は、結構古い。しかし、コンピューターと法の接点 というようなことについての問題状況は、数年前と今とでは、質、量ともに格段 の違いがある。これは、技術の飛躍的進歩によるものであり、コンピューターが 使われる場面が急激に拡大したことにある。その急激な変化に比較すると、法律 は全く動きがないと言っても過言でない。例えば、世間ではコンピューター取引 が実際に行われているのに、その契約を律する法である民法は明治時代に制定さ れたものである。たぶん郵便すらも今日のように迅速、確実に配達されなかった のではないかと思われるが、その時代の意思表示の理論がそのままというのは心 もとない。コンピューター取引で詐欺商法が行われたらどのように対処すればよ いのか、その予防はどうあるべきか、ネットワーク社会において、個人のプライ バシーはどのようにして守られるのか、などから、ソフトウェアの法的保護の問 題まで、大小色々な問題が起きてくる。まさに「情報化社会」が法的問題と接す る局面が大きくなってきているのである。 ところで、「法」というと、きわめて専門的に聞こえるが、実はそうではない。 法というのは、本来、市民の常識に適ったものでなければならない。法それ自体 が、個々具体的な場面のすべてをあらかじめ想定し尽くせないがために、まれに おかしな結論が導かれるようにみえることもあるが、そうあってはならないから、 都合の悪い法律は納得のいく結論がでるように解釈し直すである。ただし、すべ ての人にとって最大限の納得がいくような結論というのも難しいので、適当なと ころでの妥協という面が大きい。法というものは、社会のおおきな枠組み、シス テムを決めたものだということである。その枠組み、システムは、この国で生活 するすべての人の利害にかかわるのである。だから、法を考えるということは、 社会を考えるということである。みんなで理想の社会を考えるというような発想 でやりたい。 2:研究会の方式 上記の設立目的に沿うよう、会員を特に法律家とか技術者に限定しない。問題 に関心を持つ人たちの自由な集りにする。自由闊達に意見交換できる場を設ける。 ただし、別に専門部会を設け、その部会では、各専門領域の問題について、専 門家の言葉で専門家としての最高水準をめざして議論をする。これとの対比でい えば、定例研究会については、各自の専門をわかりやすい言葉に置き換え、みん なが共通の土俵で問題現象について語るという場にする。そうすることにより、 定例研究会での一般の問題認識や解決方法についての意見と専門的な研究との有 機的関連をもたせることができる。 なお、「情報化社会と法」という問題を研究するために、どのような専門領域 が必要であるかは、一様に定まらない。したがって、専門部会においても資格制 限は一切行わない。 そうすると、違いとしては、専門用語を自由に使って議論してよいかどうかと いうことになる。ひらったく言えば、専門部会においては、ある領域の専門家た ちが、かなり専門的な議論をはじめたときに、他の人達が、「そんな難しい話は やめとこ」というようなことを言わないというルールがあるか否かである。もち ろん、ひとりよがりの議論はいけないから、他の人達にもわかるように説明する という努力を惜しんではならない。しかし、それがために専門領域の議論の発展 性を阻害するようなことがあってはならないから、出席者は、できるだけ他の専 門領域のこともよく勉強していこう、ということになる。学際的研究である。 各会員は、いずれの研究会にも出席できるということにする。 各研究会を2か月ごとに開催することとし、1か月ずらしておけば、交互に毎 月研究会があるということになるがどうか。もっとやりたいという意見があれば、 各1か月ごとでもよいが。 (文責 木村)